自分が進めている研究に他人が合流すること

基礎研究というのは、見向きもされない。
大学にいる間に学んだ大事なことの一つはこれだと思う。見向きもされないという事実と、それでも自分が大切だと思ったり、未来があると思ったら、くじけず気にせず続ける忍耐力だ。鈍感力かもしれないが。
それだけに、誰かが合流してきたときの喜びはひとしおだ。自分が構築して初めて可視化させたデータのとり方を、教えてほしいと頼まれるのは最高のモチベーション向上薬になる。日々の地味な活動に対するご褒美だ。
面白いことに、最初に教えを請いに来るのは、たいてい、普段は全く興味のなさそうにしている人だったりする。逆に、普段から、おもしろそうなことをやってますね、すごいですねと、おべんちゃらを言う人は、こない。あるいは周りが来だしてからくる。おそらく、技術との距離感の図り方が分からないのだろう。
なににせよ、自分の開発した技術がメインストリームになる感覚というのは、得も言われぬものがある。

こういう新技術を構築している時のアピールの仕方についてだが、自分は、この技術は必ず役に立つはずだと確信をもってやるから、誇大宣伝はあまりしない。まず玄人だけに参入してきてほしいから、という気持ちがあるからだと思う。その点、技術構築が未熟な段階で、最大限のアピールをかけるタイプの人とはアプローチが異なる。ただ、そういう方法論も理解はできる。未来の成果に対して今の投資を呼び込むには大切なことだ。でも、いろいろ雑音が入るし、修正にも面倒がかかるから、個人的にはあまり好きではないというだけだ。

これからは、そうやって投資を引き出す立場にまわるのだろうな。ちょっとめんどくさいと思ってしまう。そこらへんが転換点。